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「昔からのグループの子と付き合っちゃったら面倒」と話す草食系男子の多くは、大抵は「愛より友情」を選ぶ。 元来、競争があまり好きでないから、友達と争ってまで好きな女性と交際したいとは思わない。 厄介なリスクは負いたくない。
だから「男女7人」でも恋愛ドラマにならず、まったりした関係が続いていく。 「身近なエコ恋愛」に発展しないケースもかなりあるのだ。

しかも草食系の男子は、バブル期の肉食男性のように「隙あらば(エッチに持ち込もう)」とは考えにくい。 そんなことをすれば、女性に嫌がられたり泣かせてしまうかもしれない。 そういう事態は避けたいし、何より女を悲しませる自分がイヤなのだ。
もちろん、女がいろんな意味で強くなり「イヤなことはイヤ」とハッキリ自己主張できるようになった影響も大きい。 男の多くが肉食系だった時代は、女もそれなりに覚悟はしていたし、男がガバッと襲ってきた瞬間に「まあいいか」と合意することもあったろう。
バブル期は女の多くが「男性に奢ってもらって当たり前」と思っていた感もあり、「いろいろ奢ってもらってるし、断っちゃ悪いかな」という引け目もあったはずだ。 でも、いまは違う。 女も男と同じように働ける場が増え、頑張れば収入が得られる時代になった。 ワリカン派も、20代の6割以上。
「ラブホでもワリカン」が、20代前半の4割を超えるぐらいだ。 草食系男子本人も、野蛮なことは嫌いだ。 エッチが3度の飯より好きなわけでもない。 いいムードになっても、カノジョの顔色を見ながら、ゆるゆると手をつないで「してもいい?」と合意を得てからでないと、なかなかエッチに持ち込めない。

だからこそ、時として「それぐらいならいいや」「面倒だ」となるのだろう。 それに彼らは、どちらかといえば体力がない。 先日お会いした、A大学経営学部のM教授。 外食産業に詳しく『Y家』(生活情報センター)などの著書もある彼は、大学生協の学食動向などをウォッチングする過程で、育ち盛りの若者がスズメのように“小盛り”や“4分の1ライス”をついばんでいる、という事実をつかんだ。 詳しく調べてみると、バブル世代に比べて男子大学生が食べる分量が、ガタッと減っていたという。 具体的には、「大学生1人あたりが食べる米の量は、20年前(バブル世代の学生時代)の半分程度」だとM教授。 確かに、私の会社で食調査を行っても、驚くほど小食な様子が見てとれる。 たとえば、ある夜は「焼肉ガッツリ」、でも別の日は1日1〜2食、それもパン2個と「S(O製薬の栄養食品)」だけで平気な日もある。 昼食を缶コーヒーで済ませたり、夕食代わりにチョコレートやプリンを食べることも珍しくない、といった具合。 20代の男性がよくこれで平気だなと思い、「食べなくて平気なの?」と聞くと、「夜9時以降に食べると、太るってカノジョに言われたから」「プリンのほうが、コンビニ弁当よりカロリーが低いから(太らなさそう)」「生活費を抑えるには、食べないのが一番手っ取り早いから」といった答えが、次々と返ってくる。 節約の観点で自炊する男性も多い。

しかも近年はスリム系のジーンズが流行っているため、パッと見に関心が高い男性ほど「太りたくない」「着たい服が着られなくなる」と感じるようだ。 さらに驚いたのは、次のような草食系男子の実態。 教えてくれたのは、この前お会いした、M大学文学部のM教授(臨床心理士)だ。
「最近、校内で昼ご飯を食べずに過ごす男性(大学生)を見る機会が増えた。 この前『なんで食べないの?』と聞くと、『だって一緒に食べる相手がいないから』だって。 まるで、ひと昔前の女子大生やOLみたいだよね」 まさにそのとおり!とても食べ盛りの男性の発言とは思えない。 一部の草食系にとっては、ひとり寂しく昼食を食べるより、空腹をガマンするほうがラクなのだろう。 セックスレスカップルの女性が「セックスレスの理由」として挙げたトップは、「カレが仕事で疲れて元気がないから」だ。

まさに腹が減っては、戦はできぬ……。 これほど小食なら、疲れやすいのもムリはない。 草食系男子のスリム志向や節約志向が、結果としてセックスレスというエコ恋愛を増長させているわけだ。 カツカツしない草食系の増加に伴って、コンドームの消費は減る一方。 厚労省の「薬事工業生産動態統計」(08年)を見ると、99年以降、コンドームの出荷数(国内)が前年を上回った年は、ただの一度もない。 もちろん人口減少とも関連はあるはずだが、それだけではないだろう。 コンドームの製造で有名な「O」の医療家庭用品部担当者は言う。 「最大の要因は、若年層のセックスの絶対回数が減ったことと、決して無縁ではないはずだ」と。 おそらく間違いない。

さらにデータを深く読み込むと、80年以降でコンドームの出荷数が“前年比90%”を大きく割り込んだ時期が、2つだけ存在することが分かる。 99年と05年だ。 この頃、何が起こったのか?なぜ出荷数が激減したのか?その理由は当初、99年に日本で発売された低用量ピル(経口避妊薬)と、「つけない若者の増加(コンドーム離れ)」のせいだと言われていた。 だがその後、複数の専門家が検証した結果、いずれも「違うらしい」ことが見えてきたのだ。 なぜか?1つはピルが、発売段階でまだ目立って普及していなかったから。 もう1つは、90年代半ばからHIV訴訟など薬害エイズ問題が騒がれ始め、むしろ若者にも「(コンドームを)つけなきゃ」の意識が高まっていたから。
そんな時期に、出荷数が突然、前年比86%に落ち込むのはおかしい。 別の理由があるはずだ……。 N家族計画協会クリニックの所長K氏も、そう疑った1人だ。 厚労省の労働科学研究班の一員として性行為の現状を調査する彼は、「なぜ出荷数が激減したのか」を探るうち、99年前後に起きた“ある現象”にたどり着いたという。 それは、(PCの)インターネットの普及(98〜00年)。 コンドームの出荷数激減との相関関係は、『O』の本にも書いたとおり。

「ネットのアダルトサイト普及による“ひとりエッチ(バーチャル)”の増加によって、コンドームを要するセックス(リアル)が減少した」との見方だ。 他方の05年についても、同じ説が当てはまる。 やはり出荷数がガタッと減った03年から05年にかけては、ケータイのネット接続が急増した時期。 ちなみに同じ05年、男性の自慰用オナカップ(オナホール)と呼ばれる「T」も、1年間で100万本を出荷する大ヒット商品となった。
バーチャルエッチなら、女性との面倒なリアルコミュニケーション(合意)は不要。 自分が思い立ったとき、いつでもどこでも気軽にコトが済む。 時間もおカネも短縮できるわけで、ある意味、究極の「エコエッチ」なわけだ。 しかも草食系男子は、嗅覚や触覚など“五感”が鋭い。 ひとり暮らしの部屋には大抵、アロマやオシャレなバスボム(入浴剤)があるし、香水の保有率も高い。 潔癖症でもある。

取材した中にも、「シャワーを浴びないのにエッチするなんて、気持ち悪くてダメ」「デオドラントスプレーを持ってない日は、カノジョに汗臭いと思われるから(エッチは)したくない」と話す20代男性が、複数いた。 彼らにとって、リアルエッチはいろんな意味で“時と場所”を選ぶ。 デリケートな草食系は、その気になったら衝動的に、との肉食恋愛には走りにくいのだ。 「悩みや不安があれば、ママ(母親)に相談します」女の子の発言ではない。 「第13回新成人意識調査」での、20代男性による回答。 なんと4割弱(36%)の男性がそう答えた。 これは「同性の友達・同僚(47%)」に次ぐ、第2位。 一方で「カノジョに相談する」は、たった9.5%(5位)しかいなかった。

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